コロナ休業支援金・給付金の申請×労働保険番号の取得

コロナ休業支援金・給付金の申請×労働保険番号の取得

2021年04月11日日

【ポイント】
・休業支援金・給付金の申請に必要な番号である「労働保険番号」
・「労働保険番号」の取得(保険関係成立届の提出)を失念している状況での休業支援金・給付金の扱いは

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申請期限が延長されている理由

 事業所やお店からの休業要請を受けたにも関わらず、休業手当の支払いが受けられなかった一定の労働者は、
「新型コロナウイル感染症対応休業支援金・給付金」
の申請ができます。

 また次のような理由により、休業支援金・給付金の申請期限は令和3年3月31日から延長されています。

・休業手当が支払われないために、本来であれば就労して得られたはずの賃金を補償するための支援を必要とする人がまだ数多くいる。
・休業支援金・給付金について、多くの人が請求できる権利を持っているが利用が進んでいない。(周知が図れていない。)

申請期限の延長【中小企業等にお勤めの場合】

  延長された申請期限  申請しようとする
休業期間
延長対象となる人の条件
令和3年5月31日令和2年4月~9月次のいずれかに該当する人
・シフトによりまたは日々雇用されている人、登録型派遣で働いている人
・商業施設の休館による休業を受けたテナント店舗で働いている人
・その他一定の場合で労使間で休業の認識が不一致である人
同上令和2年10月~12月条件はなし
令和3年7月31日
(従来から)
令和3年1月~4月条件はなし

 

申請には事業主からの協力が不可欠に

休業支援金・給付金は、原則的に労働者が申請するものですが、事業者の協力なしでは申請はままなりません。

しかし、事業者にとっては、もともと休業手当を法律どおりに支払っていないという事実があるので、そうした事実をおもてに出したくないとの理由から、協力とは程遠いというケースも見受けられます。

申請者は「事業者から雇われている労働者」としての立場です。休業支援金・給付金の申請をすることが、事業者からの”解雇”や”雇止め”、”労働条件の不利益変更”などの雇用のトラブルに発展しかねないことを恐れ、申請を躊躇するという人も一定数いるのではないかと推察されます。

 こうしたこともあり、厚生労働省と労働局は、事業主の皆さまへの協力のお願い、と労働者の皆さまへの相談の受付を行っています。

事業者は、就労機会の喪失への労働者救済として、国の助成を通じた支援金給付金に目を向けるべきでしょう。



労働保険へ未加入であることは申請に影響があるのか

 支援金給付金の利用が進まない一つの理由として、労働保険*への未加入問題があげられます。
*労働保険=労災保険(労働者災害補償保険)+ 雇用保険

労働保険に加入(保険関係の成立)すると、「労働保険番号」が与えられます。この「労働保険番号」は休業支援金・給付金の申請をするために必要です。申請にあたり必要なのですが、労働保険に未加入の事業所が少なくないと感じられます。

 勤務先(事業者)は労働保険に加入していることを示す「労働保険番号」をもともと取得していなければなりません。通常はこのように労働保険への加入は、「労働者を一人でも雇っている限りは義務」なのです。

 もともと、事業所がこの番号を取得していなければいけないとはいえ、休業支援金・給付金を申請するときに(同時並行的に)番号を取得すれば、申請者に給付金が支給されることになっています。

 このことは、休業支援金・給付金制度が、少なくとも「セーフティネット」という意味合いを持つことからも当然のことでしょう。

 労働者を雇っている事業者のなかに、労働保険への加入義務があることを知らない者も少なくありません。事業者は、保険関係が成立(*1)した日の翌日から起算して10日以内(*2)に、労働関係成立届を管轄の労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)に提出すれば、労働保険番号は 即時に 与えられます。
(*1)給料(労働の対価)の支払い計算期間の初日に成立。
(*2)初出勤の日が4月1日であれば労働関係成立届の提出の期限は、4月11日となります。


 

休業支援金・給付金申請の際に労働保険番号をとればよい

 先ほど、休業支援金・給付金申請の際に労働保険番号をとればよいということを話しました。

 これは、従業員の休業期間中に「保険関係が未成立」であったとしても・・・です。

 休業期間が明けてから労働保険番号を取得したとしても、支援金給付金の申請に間に合いますので取得するようにしましょう。

 労働者本人が申請する場合の支援金・給付金申請用紙には、次の赤枠のように労働保険番号を記入する箇所があります。

 労働保険番号をすでに取得している人は、次のような点を参考にして記載しましょう。

 この労働保険番号は、つぎに記載のとおり事業主が記入することになっています。

 あらかじめ保険関係が成立している人(労働保険に加入している人)は、労働保険番号を「労働保険概算確定申告書」の下の色枠の番号から転記しましょう。

 しかし、労働保険に未加入の人は、労働基準監督署などに保険関係成立届を提出して労働保険番号を取得する必要があります。
労働保険の成立手続

労働保険や、休業支援金給付金について不明な点があれば専門家によく相談して進めていきましょう。

 

【編集後記】
新年度がスタートし、4月半ばにさしかかりました。この間税理士会例会や実務研修会に出席してきました。世の中の状況は常に変化し、顧客の考えや競争相手は時の経過とともに変わっていきます。自分だけがその場に取り残されることのないよう自己研鑽に努めます。