[税制改正]機械等30%特別償却に不動産・物品賃貸業・料亭等・・・の業種が追加されることに

[税制改正]機械等30%特別償却に不動産・物品賃貸業・料亭等・・・の業種が追加されることに

2021年05月23日日

【ポイント】
今回取り上げる「中小企業投資促進税制」「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」は、対象業種を絞り込んだうえで、「中小企業投資促進税制」として一本化されることになりました。

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生産性向上のためのふたつの設備投資税制

 中小企業における生産性向上等を図るための設備投資税制は数多くあります。そのなかでも、以下の二つの代表的な規定があります。

「中小企業投資促進税制」 措置法42の6

「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」 措置法42の12の3

 これらはいずれも、一定の設備投資を行った場合において、

①普通償却に加えて取得価額の30%相当額をさらに償却として上乗せ、

②または、取得価額の7%相当額を法人税から控除(資本金3,000万円以下の中小企業者に限ります。)する

というもので、この①または②のいずれかの適用を認める措置です。


 今回の税制改正を機に、「中小企業投資促進税制」と、「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」をまとめてみます。比べてみると、対象業種や対象資産に差はあれど、非常に似かよっている規定だということがわかると思います。(令和3年1月1日現在法令施行e-GOV法令検索よりまとめ)

 

中小企業投資促進税制
措置法42の6
商業・サービス業・農林水産業活性化税制
措置法42の12の3
指定業種製造業、建設業 ほか*1不動産業、物品賃貸業 ほか*1
対象資産機械装置で取得価額1台160万円以上のもの
測定・検査工具で取得価額1台30万円以上のもの
ソフトウェアで取得価額30万円以上のもの
貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)
器具備品で取得価額1台30万円以上のもの
附属設備で取得価額1基60万円以上のもの
特別償却額取得価額の30%同左
税額控除額基準取得価額の7%同左
その他
の条件
認定経営革新等支援機関等が確認をした
旨の記載がある経営改善指導助言書類が必要
改正の内容令和5年3月31日まで延長令和3年3月31日をもって廃止

*1ほかには、卸売業、小売業、農業、林業、漁業、水産業、情報通信業、バス・タクシー運送業、宅配便・トラック運送業、倉庫業、宿泊業、飲食店業などの業種が含まれます。



指定業種は「中小企業投資促進税制」へ吸収

 この二つの税制について、令和2年12月10日に政府与党から公表された「令和3年度税制改正大綱」に次のような記載があります。以下抜粋。

中小企業による積極的な設備投資等の支援
 地域経済の中核を担う中小企業を取り巻く状況は、ますます厳しさを増しており、ポストコロナを見据えて生産性の向上や経営基盤の強化を支援する必要がある。

 このため、・・・・・中小企業投資促進税制・・・・・の適用期限を2年延長するとともに商業・サービス業・農林水産業活性化税制について、対象業種を中小企業投資促進税制に統合する

とあります。

 この商業・サービス業・農林水産業活性化税制に規定する

不動産業、物品賃貸業、料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行う者に限ります。)

が、新たに「中小企業投資促進税制」の対象業種に取り込まれることになりました。

対象資産は、「中小企業投資促進税制」に掲げる機械装置やソフトウェアなどの資産になるので注意が必要です。

【参考リンク】
令和3年度税制改正大綱 中小企業向け投資促進税制等

令和3年度経済産業関係税制改正について
令和2年12月
経済産業省
P29より
令和3年度経済産業関係税制改正について
令和2年12月
経済産業省
P31より

★具体的な規定の適用については、顧問税理士にご相談ください。


 

【編集後記】
世代交代、事業承継ってむずかしい。何か自由をとりにいけば、別の自由なことを捨てねばならず、全てはうまく自分の思い通りにはならない。譲る者、譲り受ける者、両者が「これだけは!」と望むものがひとつふたつと数えられる程度において、それはうまくいくのかもしれない。