身近にせまってきたインボイスの身近な影響とは~日常の生活シーンにたとえて~

身近にせまってきたインボイスの身近な影響とは~日常の生活シーンにたとえて~

2021年09月26日日

【ポイント】
・仕入税額控除、インボイスなど前回投稿記事のふりかえり
・インボイス発行事業者でない者との取引が、自身に影響を与えるシーンの一例
・インボイス発行事業者でない者が、これから考えるべきシーンの一例

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インボイス=伝達

前回投稿で、消費税を考える際に「仕入税額控除」がいかに重要かについてふれました。


インボイス発行事業者になる前にいまこそ考える消費税のキホンとは
2023年(令和5年)10月から消費税について「インボイス制度」が開始されます。これに先がけて、2021年(令和3年)10月からは適格請求書(インボイス)発行事…
katsunoriosaki.com

そして、インボイスは、

売り手が買い手に対し税率や消費税を伝えるための重要な伝達手段

ということをお伝えしました。

国税庁「適格請求書等保存方式の概要」
ーインボイス制度の理解のためにーより 筆者作成

これは、(売り手である)卸売業者が、(買い手である)小売業者の「仕入税額控除7,000円」のために、インボイスを発行(伝達)してあげるということに言いかえられます。

小売業者は、「仕入税額控除 7,000円」を適用するためには卸売業者が発行したインボイスを保存することが必要とされています。

つまり、自分が仕入税額控除を適用するためには、(自分を含めた)自分以外の者がインボイス発行事業者でなくてはなりません。

経理するときに、相手がインボイス発行事業者なのかどうかを、見きわめる必要があるのです。

この点に、経理処理が従来に比べて煩雑になるということがあげられています。

このようにその相手がインボイス発行事業者でない場合について、日常の生活シーンから考えてみます。


 

インボイス発行事業者でない者との取引

インボイス制度が導入されてから影響があるであろう日常生活でのシーンの一例をあげてみます。

例えば、生活不用品の買取りの時です。

だれもが、BOOKOFFHARDOFFなどのお店で、不要になった書籍や家具、家電を買い取ってもらったことが一度はあるのではないでしょうか。

今さら言うまでもないですが、BOOKOFFやHARDOFFなどは中古品のリユース販売を主たるビジネスモデルにしている事業者(会社)です。

そこで、あなたが不用品を買い取ってもらうときの買取りカウンターでのやりとりを思い出してください。

 国税庁から公表されている「消費税の仕入税額控除における適格請求書等保存方式に関するQ&A」によれば、「古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの仕入れ」は一定の事項を記載した帳簿のみ保存していれば仕入税額控除が認められます。
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(古物商等の古物の買取り等)


店員「本日は当店に商品をお持ちくださりありがとうございました。買い取り代金は、こちら(2万円)になります。こちらでよろしければサインをお願いします。」

あなた(2万円か…。しかたない。)「はい、わかりました。」

(このとき消費税を含めて代金をもらったことになるの?
について疑問のある人はこちらをご覧ください。)
事業者が事業として行うものとは(国税庁タックスアンサー<消費税>)


買取り業者はリビング家具を2万円と査定し買い取った場合には、次のような処理をします。(買取り業者は消費税を把握します。)

借方科目金額貸方科目金額
商品仕入高18,182現金20,000
仮払消費税1,818

これが、令和5年10月1日以降、インボイス制度が導入されると古物営業法に言う古物営業を営んでいない者は、次のような処理になります。

借方科目金額貸方科目金額
商品仕入高20,000現金20,000
仮払消費税なし*

「仮払消費税なし」と処理するのは、買取依頼をしたあなたがインボイス発行事業者ではないため、買取り業者はこのような処理になるのです。

 *ただし、国税庁から公表されている「消費税の仕入税額控除における適格請求書等保存方式に関するQ&A」によれば、「古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの仕入れ」は一定の事項を記載した帳簿のみ保存していれば仕入税額控除が認められます。
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(古物商等の古物の買取り等)


これを、店頭に陳列しお客さんに50,000円で販売した場合にどうなるか、集計してみます。

インボイス前インボイス後
(経過措置考えない場合)
売上高50,00050,000
仕入高18,18220,000
儲 け31,81830,000
納める消費税3,182
(5,000×10%-1,818)
5,000
(50,000×10%)

インボイス後、納める消費税を計算するとき、1,818円が控除できないことがわかります。

今まで(インボイス前まで)は、買い取る相手が誰であろうが消費税が控除できていたわけです。

当然にこのような取引が繰り返し何度も交わされれば、損益に影響を及ぼす金額は大きなものになります。

同時に、仕入税額控除も大きくなります。

こうした影響を緩和するために、今後は消費者からの買い取りを1割(消費税分)下げる?なんてことが起こりうるかもしれません。

 *ただし、国税庁から公表されている「消費税の仕入税額控除における適格請求書等保存方式に関するQ&A」によれば、「古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの仕入れ」は一定の事項を記載した帳簿のみ保存していれば仕入税額控除が認められます。
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(古物商等の古物の買取り等)


このとき、自分がいずれの立場(免税事業者なのか免税事業者からの仕入れをする事業者なのか)になるのかを考えての対策が必要ですね。


 

 

【編集後記】
あまりのある2桁の割り算が得意じゃない3th娘。386÷47みたいな割り算です。ひっ算をするとき6の上にいくつの数字を立てればいいかとかが難しいようです。「パパこれいくつー」とか聞いてきたりします。ひっ算を組んでこの6のうえに立つ数字、ようやく最近になり一発であげられるようになってきました。