緊急事態下でのリーダーシップとは
先日、ある報道記事を見ていたら、こんなようなことが書いてありました。
それは、大阪府知事がある報道番組に生出演したときのことです。
「万が一、知事が(新型コロナウイルスに)感染したら、バックアップ体制はどのようにされてますか?」と、危機管理に関しての質問がでました。
知事は、「もし僕が感染したら、副知事3人が僕に代わり陣頭指揮をするよう既に指示は出しています。濃厚接触しないように彼らとは同じ会議にできるだけ同席しないようにし、同じ会議であっても座席は、距離を置くように配慮しています。」と即答したそうです。
この「即答」という文言は記事から引用したものですが、番組内で、「あらかじめこの質問をしますので考えておいてください。」と用意されていたものならいざ知らず、この記事のとおりなのであれば、府のリーダーが不測の事態に陥ったときの危機管理体制(陣頭指揮)が、府の庁舎内で前もって共有されていたことになります。
BCPとは
「BCP」とは、Business Continuity Plan のことで「事業継続計画」と略されます。
このBCPとは、
「企業等が、
・緊急事態(自然災害、大火災、感染症・・・)に遭遇した場合において、
・事業資産の損害を最小限にとどめつつ、
・中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするため、
・平時に行うべき活動や、当該緊急非常時における事業継続のための方法、手段などを
・あらかじめ取り決め、それを文書化したもの。」
と、されています。
「中小企業庁BCPの策定促進に向けて~中小企業が緊急事態を生き抜くために~」(新しいタブが開きます)で説明がなされています。
「文書化・・・」と聞くとなにか大変そうですが、
【緊急事態になったら組織の上からの支持を待つのではなく、緊急事態なりのスピードをもった個々の決断を優先させる】
と、認識を共有するだけでも違います。
では、BCPはなぜ必要か、災害に見舞われたときを想定してみます。
企業が被災し、復旧が遅れ、事業継続ができなくなると、
①サプライチェーンの分断
②職場の喪失
③事業の廃止、倒産
といった事態に陥る可能性があります。被災してしまうこと自体は避けられませんが、いくつかのシナリオを想定しておくことで、他の企業より早い段階で復旧が可能になり、事業の継続も早いうちから見通しが立てられるようになります。
事業の早期復旧、持続可能性の早いうちでの見通しは、会社経営するうえであなたにアドバンテージとなります。
BCPの策定
実はこのBCPの取組みは、なかなか進んでいませんでした。
ところが、東日本大震災をきっかけにして、BCPの重要性が再認識され、上場企業において3割ほど(2011年)であった策定が、6割強(2018年)にまで増えたという内閣府の調査があります。
「平成29年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」の概要(内閣府)(新しいタブが開きます)
この見えざる感染症に対しての持続可能な事業の経営について、日頃のBCPへの関与の度合いが、事業の復旧を、早期かつ確実なものとします。
・・・いま、あなたなりの「B C P」を考えてみるきっかけにしましょう。