密から疎へ 今だからこそ地方への移転を考えてみる

密から疎へ 今だからこそ地方への移転を考えてみる

2020年07月26日日
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世の中は密から疎へ


 5月4日に、新型コロナウィルス感染症専門家会議から「新しい生活様式」が提言されて、はや2か月半がたちました。

 これを受けて、日常的なマスク、手洗いだけでなく、様々な業態や様々な場所における「感染症対策ガイドライン」が策定されました。

 この感染症対策ガイドラインは、実に、157(令和2年7月21日現在)もの業種、業態別のガイドラインとして整理され一覧になり、アクセスできるようになっています。

 働くビジネスの現場にめをむけてみると、

「 “オフィス勤務”と”在宅リモートワーク”のローテーション勤務」
「エレベータ内は定員が15名であっても5名まで」
「会議は社内移動を避けてテレビ会議で」

これらのことが定着してきました。

これは、一時的にでも「密」を避けた「開疎化」に向かっていくことを意味しています。

「開疎化」は、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるビジネスの革命に、さらなる拍車をかけるものと私は、期待しています。

「開疎化」:開疎化がもたらす未来 安宅和人(慶應義塾大学環境情報学部教授、ヤフーCSO )

ビジネスの拠点の変換


 特に、最近の首都圏・近畿圏での感染拡大のもたらす影響は、ビジネスを取り巻く環境にマイナス要因であり、最近の感染者数の推移をみても、いまだにとどまる兆候はありません。

 安心で安全な雇用環境(距離をとった組織配置)・通勤環境(時差出勤やリモート在宅)と、対策をとったうえでの「密」からの回避は、一等地にオフィスを構えることによる高額な賃料コスト負担から解放されます。

 そもそも、集まらなくても業務が滞りなく進むことに気がつけば、高額な賃料を支払ってまで、一等地にオフィスを構える必要はなくなるでしょう。

地方都市の魅力


 地方都市は魅力的なところが多いです。

賃料が安く住みやすい。
自然が豊かである。
IT革命により、ビジネス・プライベート両面におけるコンテンツ・情報の格差は従来より縮まってきている。
なにより、地産地消により食べ物がおいしい。

また、移住を支援する制度もあります。

地域再生法と税制、コロナ対策をかけあわせてみる

地域再生法第一条(目的)について、こう記されています。

この法律は、近年における急速な少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化に対応して、地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取組による地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生(以下「地域再生」という。)を総合的かつ効果的に推進するため、・・・

とあります。

 この地域再生法に基づく施策として、企業が地方に拠点を置くことを強化し支援するための税制があります。

主なものとして、

・本社事務所建物等の取得価額に対する特別償却(15%)または税額控除(4%)
・雇用の増加を行った場合の税額控除(最大150万円)
・不動産取得税の課税免除または税率を10分の1
・法人事業税及び法人県民税を課税免除または税率を2分の1
・固定資産税を課税免除または年度の経過に応じて軽減

 このほかに、
・日本政策金融公庫からの低金利による融資
・県外から本社機能の移転を行った事業者に補助金を支給

 これらの制度はいずれも、地域再生法に基づく「整備計画*」を作成し、計画の開始前にこの「整備計画」を都道府県に対し申請し認定を受けることが必要となります。

*地方活力向上地域等特定業務施設整備計画のことをいいます。

地方拠点強化税制の概要(内閣府地方創生推進事務局)
地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定状況(令和2年7月26日現在)
産業拠点強化税制(新潟県庁Webサイト)

まとめ

 今後またどのような未知なるウィルスがはびこるのか、誰も、うかがい知ることはできません。

現在、首都圏や近畿圏を中心に起こっている「安全で安心でない環境」が今後も続くのであれば、地域再生法やこれに関わる優遇制度を利用し、この際に拠点を、そこよりは「安全で安心な環境」へ移すことも選択肢のひとつとして考えてもよいのではないでしょうか。

【編集後記】
アイキャッチ画像 2017年7月長岡市寺泊にて iphone7