・年収960万円の所得制限は、家族構成によってかわります
・まだ生まれてこない子ども(胎児)の扱いは?いつ時点で判断するのか
・年収960万円の基準は、世帯年収(夫婦合算)でなく、世帯主(主たる生計維持者)の年収のことを言っているのはみなさん周知のとおりです
・以下は、令和3年11月19日現在の情報です
目次
子育て世帯に対する給付(仮称)が閣議決定しました
令和3年11月19日、政府は、閣議で「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を決定しました。
財政支出総額 55 兆円 で、昨年4月に決定された経済対策をも上回る非常に大きなものです。
これには、
(以下は原文そのまま)
新型コロナウイルス感染症が長期化しその影響が様々な人々に及ぶ中、子育て世帯については、児童を養育している者の年収が 960 万円以上の世帯を除き、0歳から高校3年生までの子供たちに1人当たり 10 万円相当*1の給付を行う
と、明記されました。
*1相当とは、現金5万円の支給とクーポン5万円の給付(自治体によっては現金支給も可能)のこと。
子育て世帯に対する給付(仮称)はコロナ対策なの?
子育て世帯に対する給付は、コロナで困窮している世帯に向けた給付ではありません。
この経済対策全体の内容をわかりやすく示す、サマリー(概要)では、
この子育て支援給付の政策を、コロナ感染症拡大防止のための対策ではなく、分配戦略としているのがわかります。
岸田政権が掲げる政策の目玉「成長と分配の好循環」のうちの 分配 戦略のひとつです。
次がそのサマリーです。
赤で囲った部分が分配戦略です。
さらに、赤枠の囲み部分を拡大してみると、
分配戦略のうちの、「子ども・子育て支援」として掲げられているのがわかります。
所得制限は家族構成によって異なる
繰り返しになりますが、経済対策の原文を読む限り、
対象要件は、
児童を養育している者の年収が960万円以上・・・を除いて、
0歳から高校3年生までの子供たち、
です。
しかし、ここからが大事です。
この部分には注書きがあります。
年収が960万円以上
には、注が振られていて
その注には、
扶養親族等が児童2人と年収103万円以下の配偶者の場合の目安
とあります。
要するに、この960万円は、子供2人と配偶者(夫または妻)の合計3人を扶養している場合における世帯主の収入のことをいっています。
世帯の構成によって、960万円以下とした収入の条件はかわってくることがわかります。
0歳というけれどいつの時点で0歳なのか
また、もう1か所、注が振られている箇所があります。
0歳から高校3年生までの子供たち
です。
高校3年生なので、日付を最もさかのぼっていって平成15年4月2日生まれまでの人が対象となるということ、
ここはいいかと思います。
では、0歳とはいつの時点で0歳なのか。
注書きを見ると
平成15年4月2日から令和4年3月31 日までの間に出生した児童
とあります。
”令和4年3月31日まで”と明記されているので、
11月19日公表の原文を見る限りは、令和4年4月1日以降に出生した子供は対象となりません。
逆に言うと、現在おなかの中にいても令和4年3月31日までに出生したことが証明できれば受給対象になります。
そう、いま、おなかの中にいる子どもも対象です。
「令和4年3月31日」の日づけを覚えておきましょう。
年収960万円以上でも受けられる世帯主とは
960万円というのは、扶養親族の数によって変わることがわかりました。
この子育て世帯に対する給付金は、迅速に各家庭に届けることを目的としているので、既存の児童手当の仕組みを活用して「プッシュ型」により支給することが決まっています。
年内支給開始を目指しているようです。
その児童手当の制度の枠組みとして、所得制限があります。
所得制限の限度額を超えた人には支給しないことを示したラインです。
例えば、新潟県長岡市では、(特例給付を受ける人を除いて)次の限度額未満の人を対象に、児童手当を支給しています。
これによれば、世帯主の年収が960万円以上であっても、
扶養親族が4人以上(本人を含めた家族人数は5人以上)であれば受け取れることがわかります。
こうした所得制限限度額や非課税限度額(住民税など)などの線引きには、扶養親族の数に応じて決められているものが多いので、ご自分の家族構成に応じた基準の限度額を、おおまかにでも知っておくようにしましょう。
【編集後記】
先日、税理士会の新会員一日研修会が行われ、夜は懇親会でした。
大勢の方と名刺交換したのも、懇親会に出席したのも2年ぶりです。
感染が収まってきたからこそできたこと。やっぱりいいですよね。