65万円の青色申告特別控除を令和2年分以降も適用するためには

65万円の青色申告特別控除を令和2年分以降も適用するためには

2020年09月06日日

 あなたの青色申告特別控除が減少するかもしれません。
税制改正により令和2年分の確定申告から、少なからずそういう人がでてきます。減額される可能性のある人は65万円による控除を受けている人です。青色申告特別控除がこれまで10万円の人は何ら変わりません。
この改正には、基礎控除額の10万円増額の改正も同じ年にセットで行われます。
【関連記事】2020年から基礎控除が改正に

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青色申告特別控除は改正に

 青色申告特別控除は、青色申告者に与えられる特典のひとつです。

 青色申告特別控除は制度創設以来、
①10万円
②一定の要件を満たした人は①の10万円よりも拡大(令和元年は65万円)
のいずれかを適用する制度になっております。

すでに、②65万円の控除を受けている方は、税理士に申告を依頼したり、「申告は青色で」などと節税に対しポジティブに関わろうとしている方だと思われます。
あなたは、65万円を控除したいので、帳簿を複式簿記により作成(依頼)しその作成に基づいて貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付していることと思います。

<参考>
青色申告特別控除65万円の変遷
・平成4年度税制改正により創設(昭和47年創設の青色申告控除制度の廃止にかえて)、控除額は35万円
・平成10年分より45万円
・平成12年分より55万円(一部特例により45万円は残る)
・平成17年分より65万円(一部特例による45万円は廃止に)
・令和2年分より新たな要件を満たさないと55万円に

 青色申告特別控除額は、下イメージ図の赤枠に記載します。65万円の青色申告特別控除を適用したい場合はこの赤枠に記載することが適用するための要件となっています。「記載」ということはすなわち、確定申告書を提出することで初めて「記載」したということになるので、提出しない限りは適用がないということです(①10万円はこの記載が要件とはなっていません)。
 青色申告特別控除を令和2年分も65万円により適用したいと考える方にとっては、この記載した申告書の提出の方法が、ある意味「カギ」となります。

令和2年分青色申告決算書-1

 

青色申告特別控除は、新たに ” 電 子 ” がキーワードに

Ⅰ.今までどおり65万円の控除ができる方とは

 次のいずれかに該当する方です。
1.すでにe-taxによる申告(電子申告)をしている(紙で郵送または持参提出していない)。
2.すでに帳簿を電子データで作成し、法的な要件を満たした帳簿として保存(税務署への申請が必要)している。

 2.は行っていて、1.はしていないという人が多いと思います。いずれかに該当すれば、令和2年分以降も65万円の控除ができます。

Ⅱ.令和3年3月15日までにする確定申告から55万円の控除へと減少する方とは

 このように、令和元年分の確定申告で65万円の控除をすでに受けられていた方は、改正による新たな要件の追加により、1.e-taxによる申告(電子申告)または2.帳簿を電子データで作成し、法的な要件を満たした帳簿として保存のどちらかを行っていないと青色申告特別控除額が55万円に減少されます。
では、65万円の控除を受け続けるために、どんなことから始めればよいか。

 まず1.e-taxによる申告(電子申告)から考えていきます。とっかかりの入り口はこちらからです。国税庁 確定申告書等作成コーナー(令和元年分令和2年4月16日期限分が開きますのでご注意ください)

e-taxによる提出

e-taxによる提出-2-1

e-taxによる提出-3-1

 その後、e-taxにより決算書及び申告書を作成し、申告(電子申告)します。

 

 次に2.帳簿を電子データで作成し、法的な要件を満たした帳簿として保存ですが、これには前もっての準備が必要です。

 まず、令和3年分(令和4年3月15日期限分)よりこの制度の適用を受けるためには、令和2年9月30日までに税務署へ承認申請書を提出する必要があります。(令和2年分(令和3年3月15日期限分)は特例として令和3年分期限と同日までに提出すればよいことになっています。)そして、帳簿はそのデータが意図的に書き換えられないようにする必要があります。市販の会計ソフトやクラウド会計に付随する電子帳簿システムを利用することが望ましいでしょう。
 このように、法に定められた電子帳簿の備付け及び保存をするにこしたことはないですが、実際、期限が迫っていることなどを考えると、1.e-taxによる申告(電子申告)のほうが年明けからできて時間の余裕がありますので、1.e-taxによる申告(電子申告)により青色申告特別控除65万円の適用をされることをおすすめします。

 

【編集後記】日経新聞記事(8月31日)より
「パソナグループが、本社機能を淡路島に」の記事が掲載されていました。
「パソナはテレワークも活用しながら本社の地方移転を進める」とありました。
通勤混雑や地震災害などへの備えの観点から、東京一極集中はリスクが高すぎます。
コロナ禍となった今、当然の帰結と私は考えます。
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