「マイクロツーリズム」から考えるコロナ禍での飲食店の戦略とは

「マイクロツーリズム」から考えるコロナ禍での飲食店の戦略とは

2020年10月04日日
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ビジネスモデルの「Re Design」(リデザイン/再設計)

 コロナ禍のなか、さまざまな業界や多くの企業が未曽有の厳しい環境にさらされています。

 顧客の価値観が変化してきているなか、いまだに多くの企業はそれぞれの業界の枠組みの中での陳腐化したビジネスモデルにしがみつき横並びの競争を行っています。これまでの枠組み、今までの延長線上のビジネスモデル下での会社の成長や利益の追求は、もはや限界に来ています。

 このようななか、新しいビジネスモデルをどのようにしてデザインしていくか。
 本物の戦略(顧客が得る価値を向上させるためのビジネスモデル)が求められています。

 

マイクロツーリズムとは

 わたしが初めて「マイクロツーリズム」ということばを耳にしたのは星野リゾート星野社長からのことばでした。

星野リゾートWebサイトでは、「マイクロツーリズム」について次のようにふれています。

「遠方や海外への旅行に対し、3密を避けながら地元の方が近場で過ごす旅のスタイル。自宅から30分〜1時間程の距離で、安心、安全に過ごしながら地域の魅力を深く知るきっかけになり、地域経済にも貢献します。保養目的で旅館やホテルに行き、温泉や自然散策、料理を楽しみ、活力を取り戻す滞在旅行です。」
 星野リゾートの「マイクロツーリズム」近所旅行のススメより

 これから数年、従来どおりの旅行のスタイルが戻ってくる保障はありません。感染拡大に歯止めをかけての安心で、かつ安全な「マイクロツーリズム」は今現在の旅行のスタイルとして理にかなっています。

 

飲食業界でもマイクロ商圏に光をあててみる

 毎日のように、都道府県ごとの当日の感染者数が公表されます。しかも都道府県のなかでも市町村ごとに何名が発症したのか報道されます。

 そのようななか、人の往来に関して、長い距離を移動することをしなければそのこと自体が感染予防対策になる、ということがわかってきました。そして、自分の住まい近辺の発症者数を見聞きし、次の日の行動をおのずと制限したり緩和したりしている人も少なくありません。

 このようなコロナ禍において”マイクロな地域内”に限って言えば、経済活動を犠牲にせず行動に制限をする必要がなくなります。

 そこで、飲食店でもお店の周囲数キロメートルほどの範囲内で、いかに“潜在需要のある客”を”リアルなリピート客”にひきあげることができるか、コロナ禍の今、このことにスポットをあてることは重要ではないかと考えます。

1.地域内における観光、食事はウィルス感染のリスクを減らし、【感染予防対策】
2.大人数よりはゆったりとした席数を確保し、【3つの密を守る】
3.店舗近辺のお客に対してはリピート利用の可能性が高く、繰り返し飲食してもらうことでファンを増やす【SNSによる拡散をねらうなど】

 

オンライン戦略も有効に

 地元客誘導のためのメニューづくり、店内のコンセプトづくり、オンラインからオフラインへまたはオフラインからオンラインへの誘導(O2O)、店内飲食以外の販売チャネルの確立などを考える必要があります。

 実際、店舗SNSのQRコードを掲載したチラシを配布することで、SNSサイト閲覧頻度をあげてフォロワー数を増やし、来店回数を増加させているお店があります。

 なかでも、SNSは感染拡大の予防の取組みを情報として発信するツールとしても有効です。安心してお客にお越しいただくことは、心地よい時間を過ごしてもらうためのひとつであると考えられます。

 

最後に

 あらゆるモノが安く便利に入手でき、かつそれが手のひらで安易に比較できてしまう世の中です。
自らコスト競争に埋没することなく、自店舗でしか得ることのできない”体験”、”価値”、”時間”をお店が提供することに重点をおき、ブレない経営を目指していきましょう。

 「地産地消」、「地元のみなさまへの優待還元」、「地域密着を掲げた共存繁栄」などを掲げ、地元をこよなく愛するお店として、普段目を向けていなかった客層、地域に対しアピールする良い機会となるでしょう。

 またどのようなウイルス感染症がはびこるか、誰もわかりえませんから。

 

【編集後記】
先日、証券取引所の株価情報配信システムの不具合で、すべての上場銘柄の売買取引が停止せざるを得ない事態となりました。予備のバックアップシステムへの切替えがうまくできなかった事が一因としてあるようです。
 
予期せぬことは突然やってきます。その予期せぬことが起きても最小限の損失でとどめておきたいものです。
たとえばバックアップにしても、データを2か所以上の場所に作成、あるいは蓄積分のデータを過去7日分まで別々に作成、などすることで損失は最小限に抑えることができます。