コロナ禍での固定資産税等の軽減・猶予を考えてみましょう

コロナ禍での固定資産税等の軽減・猶予を考えてみましょう

2020年06月23日火
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固定資産税(都市計画税)とは


 固定資産税は、市町村税で地方税法に規定があります。

 固定資産税は土地(田・畑・宅地など)、家屋(店舗・事務所・工場など)、償却資産(構築物・機械・備品など)の所有者について課税され、市町村の会計年度(その年の4月1日から翌年の3月31日)単位で課税*されることになっています。

*固定資産税評価額に1.4%を乗じた金額を納めます。

 また、所有者(納税義務者)とは、その会計年度の年の1月1日(これを賦課期日といいます)時点において登記簿や課税台帳に記載されている者をいいます。

 従って、12月31日に家屋を取り壊した場合、12月31日に死亡した場合には、それぞれ取り壊した人、死亡した人に対して翌会計年度の固定資産税はかかりません。(死亡した場合は、死亡した者の相続人が納税の義務を引き継ぎます)。

 また、固定資産税と併せて徴収される税金に都市計画税*(地方税法702条以降)というものがあります。
 固定資産税と同様に1月1日現在において、土地や家屋を所有している者に対して課される税金です。
 固定資産税とは下記のような違いがあります。

*固定資産税評価額に0.2%を乗じた金額を納めます。

税の種類固定資産税都市計画税
使いみち普通税目的税
対象地域全地域に所在市街化区域内に所在

市税にしめる固定資産税等の規模感は(新潟県長岡市を例にとって)


 では、その固定資産税が猶予または軽減されるに伴い、税を徴収する側の課税自治体にどのような影響が及ぶのか、固定資産税の税収減が財政に与える規模感を数値で確認します。


 自治体での歳入に占める固定資産税等の規模感(割合)を新潟県長岡市(令和2年6月1日現在人口26万人)を例にとって考えてみます。

 市税、地方交付税や市債を含めた長岡市の歳入(平成30年度)は、1,301億円です。
そのうち「市税」の税収は、380億円弱(歳入のうちの30%弱)です。

 そこで、市税の税目別の構成は、下記のようになっております。

      単位:万円(長岡市財政課 市政情報より作成)

 太赤で囲んだ(黄)が固定資産税、(緑)が都市計画税です。

 定資産税(黄)44%、都市計画税(緑)4%とをあわせると市税全体の48%もの税収になることがわかります。これは、市民税(青)*の44%をも上回ります。

 *市民税の内訳は、個人市民税130億8,996万円、法人市民税37億4,796万円。

 自治体歳入の1,301億円のうちの180億円もの金額が固定資産税と都市計画税であることがわかりました。実に13%もの割合を占めています。

 このように固定資産税等は地価の動向や、資産取引が活況であるかいなかという事由により、予算の規模に与える影響は大きいと考えます。

猶予される固定資産税等は


 令和2年4月30日に成立した補正予算案に関連して、経済産業省より「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(経済産業関係)」が公表されています。


 納税猶予される固定資産税等は、令和2年度において課税された土地、事業用の家屋、償却資産が対象です。このコロナの特例を利用すると、通常必要となる担保や延滞税は必要ありません。

 「2020年の2月から納付期限まで」の任意の1ケ月以上の収入が、前年同月と比較しておおむね20%以上減少していることが要件です。
 納税猶予期間は、原則として1年間です。

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免除または軽減される固定資産税等は


 免除または軽減される固定資産税等は、中小企業・小規模事業者の所有する令和3年度において課税されることとなる事業用の家屋、償却資産が対象です。猶予と同じく担保や延滞税は必要ありません。

 2020年の2月から10月までの任意の連続する3ケ月の事業収入が下記のように減少をすると、A.免除(ゼロ)または、B.軽減(2分の1)となります。
要件
A.前年に比して50%以上減少
B.前年に比して30%以上50%未満の減少

納税の猶予申請書(長岡市あて)は下記のHPよりダウンロードできます。
免除・軽減のための申請は、来年度(令和3年度)に公表されます。
 ⇒納税の猶予申請書(Excelファイル)
 ⇒納税の猶予申請書(記載の仕方・個人の方)
 ⇒納税の猶予申請書(記載の仕方・法人の方)

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 歳入の13%もの割合を占める固定資産税等ですが、軽減または免除に相当する固定資産税等の減少分は、すべて国費で補填されるそうです。