送信した申告書のデータが消失して復元できないときは

送信した申告書のデータが消失して復元できないときは

2021年05月02日日

【次のような方向けです】
・国税庁の申告書等閲覧サービスとはどのようなものか知りたい方
・申告書をPCやスマホで作成し電子送信した後、データが消失してしまった方
・災害に遭い申告書または申告書データを紛失してしまった方
・前年以前の申告データをいかして、申告書を作成する方

 

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万が一、消失してしまってもよい環境になっているか

 ”申告書の作成データが消失して復元できない”

 こういうことが仮に起きてしまったとして、あわてなくてもいい環境になっていますか。

そんなとき、
・データの保存場所が、PCのハードディスクからクラウドに置き換わっているから。
・こんな時のため、別の場所にバックアップがとってあるから。
・顧問税理士に復元データ(申告書等のコピー)を依頼するから。
など、データ保管に注意を払わなくてもいい環境になっていれば、いざ消失してもあわてなくて済みます。

 それでも(起こらないと思っていながらも)、いざデータが見つからない、探せないということが起きてしまえば悲しいことです。

 そんな事が起きてしまった時のため、先ほど示した救済手段をとれない人のため、今回投稿する記事を思い出してもらえればいいのかなと思います。

 以下のことを、対処方法のひとつとして頭の片隅に置いておくのも悪くはないかと思います。


 

申告書等の閲覧申請とは

 税務署では、「申告書等閲覧サービス」というものを行っています。

これは先に言ったデータ消失時や書類紛失時の対処方法のひとつになりうると、私は考えます。

「申告書等閲覧サービス」とは

 申告書等を作成するにあたって、過去に提出した申告書等*1の内容を確認する必要がある場合に行います。
・税務署へ、あらかじめ閲覧申請書を提出する必要があります。
・申告者本人に代わって、税理士等が閲覧申請をすることもできます
・原則として、申告書等のコピーは不可です(災害等により被災したなど一定の場合はコピーができます)。 

申告書等閲覧申請書の様式

申告書等閲覧申請書

閲覧目的

閲覧をする目的は決められています。次のいずれかです。
1.申告書の作成に必要なため
2.申告内容や特例等の申請事績などの見直しや確認をするため

ですので、単にデータや紙を消失しただけでなく
・顧問税理士を変更した、や
・被災した
場合にも、手続きさえふめば閲覧申請ができます。

 

*1閲覧対象となる申告書等

所得税及び復興特別所得税の申告書
法人税及び地方法人税の申告書、復興特別法人税の申告書
消費税及び地方消費税の申告書
相続税の申告書
贈与税の申告書
青色申告決算書
収支内訳書
その他申請書、届出書
など

 

実施場所

納税地の所轄税務署(被災した場合は避難所近くの税務署)の庁舎内で、税務署職員が立会いのもと行われます。


 

申告書等閲覧時スマホでの撮影が可能に

 これまで「申告書等閲覧サービス」では、申告書等をコピーすることが許されていませんでした。

よって、申告書等を閲覧する際にはその申告書等を書き写すしか方法がなく、時間も手間もかかっていました。

 しかし、社会生活環境のデジタル化や、閲覧の際の非効率の解消をかんがみて、令和元年9月からは、スマホやデジカメ等での申告書等の撮影が可能になりました。

このスマホ、デジカメ等での撮影を申請するためには、申請書の様式に、以下の注意が必要と書いてあります。

スマホやデジカメを用いた際の撮影の注意点
・撮影した写真がその場で確認できる機器に限る
・動画による撮影は不可(写真のみ)
・申告書等以外のものが写り込んでいた場合は消去する
・撮影した写真は、「閲覧目的」以外に使用しない


最後に

 この申告書等閲覧サービス、スマホ撮影の導入により少しずつ使いやすくなってきました。とはいえ、個人情報を保護する観点からはバランスをとる必要があるようです。

 共同で提出した相続税の申告書を閲覧したい場合には、その共同で提出した相続人全員の印鑑証明書実印を押印した委任状が必要になります。すでに亡くなっている人が生前に提出していた申告書を、相続人が閲覧したい場合も、これと同様に印鑑証明書が必要です。

 このように、自分以外の者の申告書等の情報を閲覧したい気持ちがなくとも(閲覧する必要がないのに)共同提出しているという事実だけで印鑑証明書が必要になります。

 まえもって、共同で申告書を提出しないようにする場合には、顧問税理士に相談しましょう。

複数の相続人乙がいる場合の相続税の申告書の作成方法


  

【編集後記】
申請受付が始まった「事業再構築補助金」。税理士は認定経営革新等支援機関として認定を受ければ、事業計画策定の支援ができます。一方、税理士事務所自身が申請者として、補助金申請した話もちらほらあります。
税理士業分野での「事業の再構築」。
ある意味、”この業界がガラパゴス化している”ということも否定できないとは思います。