2020年、税制改正によってフリーランスに追い風に

2020年04月02日木
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給与所得控除額が改正に

 2020年分の所得税から給与所得控除額が改正 (10万円減少) されました。

 そもそもこの改正は、政府が主導する多様な働き方(フリーランス)を税制面から支援する一環として、 組織に属さず、フリーランスとして働く人の税負担を軽減することが目的です。

 この目的を達成するため、給与所得控除額改正は、基礎控除(【過去記事】2020年から基礎控除が改正に)の減税改正と合わせることでひとつの効果を発現させるための、一端を担っているということがいえます。

 すなわち、給与所得者である方が、雇用されることをやめて事業主として独立したような場合に、減税の恩恵を受けられるいうことになります。


給与所得控除額とは

 それでは、給与所得控除額について説明します。

キュウヨショトクコウジョガク!?、
これってなんだか、なじみがないですよね。
それも無理はありません。
 給与所得控除といっても給料明細にはそんな欄ないし、年末にもらう源泉徴収票にもそんな欄がありません。
 なじみはないですが、給料をもらっている全ての方に関係してくる話です。


 では、その給与所得控除額というものはそもそも何なのでしょうか。

 みなさんが、「給料日に支給を受ける金銭」の所得の種類は、給与所得と呼び、下記の算式によって表されます。


 給与等の収入金額-給与所得控除額(-特定支出の額)=給与所得の金額  (特定支出の額の説明は省略します。)

 この給与等の収入金額から控除する金額が給与所得控除額です。
 この給与所得控除額は、下記の図のように給与等の収入金額が増加するに従って、比例して増加します。

                                     財務省HPより

 縦軸の65からクイッと右上に伸びている細い曲線は令和1年までの給与所得控除額の給与収入に対する変動を表しています。
  そして、そのすぐ下の太い曲線は改正後の給与所得控除額の変動です。


 上の図をご覧のように、改正によって10万円下がりました。
下限が65万円 → 55万円に、上限も同じく10万円下がりました。


給与所得控除額から基礎控除額へ10万円の振り替え

 もっとも、この改正の見返りに同年から基礎控除が10万円増額し改正されることが決まっており、いいかえれば、もともと給与所得を有する人以外の人であれば10万円の基礎控除が増えることで減税となります。

 給与所得控除から基礎控除へ振替(財務省平成30年度税制改正資料へ)

 減税効果を生み出すことにより、フリーランスへ転向する人を支援し就業人口を増やすことで、イノベーションを生み出す活気に満ちたアントレプレナーを世に送り出そうではないかと考えるのが政府のもくろみです。(もっとも、課税体系だけで転向を促すことの効果は限定的と思われ、事業主に転向するがゆえのリスクに対するセーフティネットは別途必要であると考えます。)


 日本における課税体系は、社会保障とともにいまだに終身雇用に手厚いのですが、新しい働き方やイノベーションを普及、促進させるために政府が支援している対象やその目的はどういう意図なのか、これらの税制改正から学ぶべきことはたくさんありそうです。